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<2022年4月 記事内容改訂>
はじめに
今回は稲荷山の頂上の一ノ峰について。
今までの稲荷山の記事はこちら。
マップは以下の通り。
番号が振ってあるのは、お塚の台座の番号だ。
(※画像が粗い場合は、クリックした先で「オリジナルサイズを表示」を選ぶと大きいサイズが表示される。)
一ノ峰
二ノ峰から更に進むと、それほど時間もかからず一ノ峰へ辿り着く。
遂に稲荷山の山頂に到達した訳で、これは達成感も一入だ。
其処彼処に「山頂」の表記があり、同時に「当店への再確認お断り」とか「店に再確認は不要です」と書かれている。
散々参拝客に山頂かどうかを聞かれ過ぎて店の人は嫌になってしまったんだな、というのが伝わってくる。
上社神蹟
一ノ峰は上社神蹟で、末広大神を祀るとされている。
末広大神は大宮能売大神のことだ。
また、日本各地にある「末広稲荷」などの名を冠した神社は、恐らくここから勧請してきたのだろう。
鶴龜大神
この鶴龜大神は四角柱型のお塚で、上社神蹟の手前辺りにドンと立っていてかなり大きくインパクトがある。
「鶴」と「龜(=亀)」とは、随分と縁起が良くめでたい神名だ。
正一位古跡塚
このお塚は、一部の漢字がよく分からなかった。
『お山のお塚』には偏の「正」と旁の「名」の活字を無理矢理組み合わせて「正一位古◼︎塚」(◼︎=正名)と記載されているが中々の力技だ*1。
そこで『稲荷詮索誌』という本で調べてみたところ、そこには「古跡塚」と記載されていた*2。
くずし字データベース検索で「跡」の字を調べてみると、確かにこのお塚に彫られた字がそこに掲載されていた。
という訳で、ここは「正一位古跡塚」というお塚であるらしい。
天光白狐大神・白光大明神、大福大明神
この場所の塚台には多数のお塚が乗っているが、その内から2つを紹介する。
天光白狐大神は白狐というだけでも有難そうなのに、更に天の光なのだから神名からして神々しい。
白光大明神も神々しい雰囲気が漂う神名だ。
大福大明神はとてもツキがありそうな神名なので参拝した。
天白大神、南魂大神、天福大神、天王大明神、天初大明神、天菊大明神、天明星太神
このお塚には7柱の神名が刻まれていて、大半が神名の頭に「天」の字を冠している。
なお神名については全て詳細不明だ。
天初大明神の2文字目は示偏に力と書く字が刻まれていて、『お山のお塚』でさえも無理矢理活字を組み合わせて「示力」と書いてある*3。
しかしこれは「示=ネ」と考えると、多分「初」の異体字なのではないだろうか。
龍蛇神・白重大神・白光神
龍蛇神という神名は珍しいと思い参拝。
その名の通り龍神様なのだろう。
龍蛇神にしろ白光神にしろ、「〇〇大神」とか「〇〇大明神」ではなく「〇〇神」という神名なのは、お山を見渡しても少数派な印象を受ける。
なお、白重大神、白光神は詳細不明だ。
祝大神・朝丸大神・朝光大神
このお塚に刻まれた神名も、詳細不明ながらどれも縁起が良さそうだ。
祝大神は『お山のお塚』では(五十音順の並びの)「い」の場所ではなく「は」の場所に掲載されていたので、伏見稲荷大社的には「祝」を「いわい」ではなく「はふり」と読んだものと思われる*4。
白米大神、三德大神
白米大神については、白米の元は稲であり、稲荷大神はまさに稲の神様なので、稲荷山のお塚に相応しい神名だと思う。
大阪天満宮の境内にも白米稲荷社があるが、こことの関連は不明だ。
三德大神の石碑もあるが、この神は御幸辺にある三徳社の御祭神だ。
衣食住の徳を司る神だとされている。
野狐大神、清姫大神
ここには野狐大神や清姫大神などのお塚が鎮座している。
野狐大神については詳細不明だが、狐を神として祀ったものだろうか。
稲荷山にピッタリの御祭神だ。
清姫大神は小さなお塚なのが却って印象的だ。
ただ、奉納された小鳥居が多い時は埋もれて見えない場合もあるかもしれない。
永嶌大神・報國大神
ここは永嶌大神・報國大神を祀る。
永嶌大神の詳細は不明。
報國大神*5も詳細不明だが、何とも時代を感じる神名だ。