燈蓮寺伽藍堂 -RISING FALCON-

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稲荷山その21:薬力にて薬力社・石井社・おせき社を拝む

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<2022年7月 記事内容改訂>

はじめに

今回は薬力というエリアについて。
今までの稲荷山の記事はこちら

マップは以下の通り。
番号が振ってあるのは、お塚の台座の番号だ。
(※画像が粗い場合は、クリックした先で「オリジナルサイズを表示」を選ぶと大きいサイズが表示される。)

薬力


劔石から進むと薬力のエリアに出る。
ここにはエリア名にもなっている薬力社をはじめ、おせき社や石井社といった社も鎮座している。

おせき社



劔石方面から階段を降りてくる階段の横にあるのは、おせき社と呼ばれる社だ。
ここは御せき大神*1のお塚を始めとして、数多のお塚が鎮座している。
奉納された小鳥居も膨大な数で、お塚の字が見えないほどの量になっている。
中央に祀られる御せき大神は、咳や喉関係に霊験灼かだとされており、役者からの崇敬も篤いようだ。*2*3を見る限り、役者からの崇敬も篤いようだ。

薬力滝



ここは「薬力滝」と呼ばれる滝行の場だ。
稲荷山のお滝は大半が伏見稲荷の境内地の外側にあるが、ここは珍しく境内地にある。


よく見ると滝の真下には不動明王が祀られている。

薬力滝裏手のお塚



おせき社横の数段しかない階段を登った先の道を薬力滝の玉垣に沿って進んで行く。


途中、滝のために引かれたと思われる水の上を通っていく。



更に進むと、おせき社から滝を挟んで反対側に出ることができる。
ここにもいくつかお塚が建てられている。
見たところ、現在でも新しい小鳥居も多数奉納されているのが分かる。

龍神


この場所の一番奥に祀られているのは龍神だ。
丸みを帯びたお塚にシンプルに「龍神」とだけ彫られている。

白髭大神・五社毘大天・白玉大神、白姫大神・白永大神


真ん中にあるのは白髭大神・五社毘大天・白玉大神のお塚と白姫大神・白永大神のお塚だ。
白髭大神は猿田彦大神の別名とされている*4
五社毘大天は詳細不明だが、「五社」とは伏見稲荷本殿に祀られる5柱*5と何か関係あるのかもしれない。
白玉大神・白姫大神・白永大神は詳細不明。

小羽瀬明神、早田大神


一番手前には小羽瀬明神と早田大神が祀られている。
どちらも詳細不明だが、早田大神は田の神としての稲荷大神だろうか。

石井社



石井社には石井大神が祀られている。
石井大神は長寿の御神徳があるらしい*6

薬力社



薬力社には、このエリア名にもなっている薬力大神が祀られている。
御利益は無病息災と身体健全であるらしい*7
また掲示によれば、薬効・薬害・健康・息災を守護してくれるとのこと。


なお、薬力社の御神酒「稲荷山」は社の向かいの薬力亭で購入することができる。
造っているのは山本本家という伏見の酒蔵だ。

金冨大明神


金冨大明神(扁額の神名は「金富大神」)とは、いかにも金運の御神徳がありそうな趣の神名のお塚だ。
見ての通り数多の小鳥居が奉納されており、かなり篤い崇敬を受けていることが分かる。

岩瀧大神



茶店の横辺りから傘杉社の方面へ抜けるための道を行くと、この岩瀧大神のお塚がちょこんと木の根本に建っているのが目に入る。
台座の上ではなく、木の根元のあたりにお塚が鎮座しているのは余り見かけないので珍しい。

藥丸社




岩瀧大神のすぐ傍には藥丸社があり、藥丸大神と𠮷髙大神が祀られている。


因みに令和元年(2019年)に写真を撮った時にはそれぞれの神名の扁額が掛かっていたが、令和4年(2022年)に参拝した際には𠮷髙大神しか残っていなかった。
もしかすると落下してしまったのかもしれない。

【薬力】
御祭神:御せき大神、石井大神、薬力大神など
 

今回は以上。
次回は傘杉社について。

脚注

*1:平仮名で「おせき大神」と書かれていることが多いが、ここではお塚の碑文の通り「御せき大神」と表記する。

*2:神奈備 稲荷山巡拝』(伏見稲荷大社附属講務本庁)54頁

*3:BS朝日伏見稲荷大社 千本鳥居の真実

*4:なお、猿田彦大神伏見稲荷大社本殿に祀られる佐田彦大神の別名とされている。つまり白髭大神=佐田彦大神ということになる。

*5:宇迦之御魂大神佐田彦大神大宮能売大神田中大神・四大神の5柱。

*6:稲荷山共栄会『稲荷山名所図会・霊峰稲荷山を巡る』(発行年不明 ※2009年以降)裏面

*7:同書