燈蓮寺伽藍堂 -RISING FALCON-

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稲荷山⑤:奥社奉拝所参拝後、命婦谷と根上り松のお塚を見る

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はじめに

この記事では奥社奉拝所、命婦谷、根上り松について書いていく。
今までの記事ではお塚(稲荷山にある神名碑)は東丸神社の裏手の路地にあるものや大八嶋社横のものなど単発のものを紹介してきたけれど、今回からは複数基が固まって祀られているものがついに登場する。
 
今までの稲荷山の記事はこちら
 
マップは以下の通り。(※画像が粗い場合は、クリックした先で「オリジナルサイズを表示」を選ぶと大きいサイズが表示される。)

 

奥社奉拝所

社殿


千本鳥居を進んでいくと、奥社奉拝所に突き当たる。奥社奉拝所は稲荷山の神々を遥拝する場所だ。遥拝所ながら、立派な社殿と拝殿も備えられている。明応の頃(1492~1501年)の記録で「奥院」と呼ばれているのが初出とのこと*1
 

遥拝所


奥社奉拝所の裏にも、本殿裏にあったような遥拝所が存在している。奥社奉拝所も遥拝所のはずなので、この場所が何のためにあるのかよく分からない。因みに、かつてのこの遥拝所の鳥居は、現在の位置よりも低い位置に建てられていたようだ*2
 

おもかる石



奥社奉拝所で一番人気があるスポットはここかもしれない。本来の観光シーズンなら、この石を持ち上げるのに長蛇の列が出来ているところだ(今回行った時は滅茶苦茶空いていた)。
おもかる石は、願掛けをしてから石を持ち上げた時に、想定していたより石が軽いと感じたら願いが叶うとされている。
私も持ち上げてみたが、思っていたよりは軽かったので、願いは成就するかもしれない。ただその辺の石よりは確実に重いので、肩や腰の調子が悪い人はやめておいた方が無難かもしれない。
 

後醍醐天皇御製碑



この石碑は、後醍醐天皇が詠んだ「ぬば玉のくらきやみ路にまよふなりわれにかさなむ三つのともし火」という御製と、それにまつわる由来が刻まれている。曰く、後醍醐天皇が延元元年(1336年)に吉野に脱出する途中で暗闇に迷い、ここの稲荷社に到達。御製と共に稲荷大神に祈願したところ、赤雲が現れて大和に至る道を示したとのこと。
この御製は「ぬばた舞」という神楽として舞われていたらしい*3が、今でも演じられているのかは不明。
 

お塚(現状不明)

伏見稲荷大社が昭和40年(1965年)に出版した調査記録の『お山のお塚』では、場所の欄に「奥社奉拝所裏」と書かれたお塚が(私が本を最初から最後まで眺めて発見できただけで)5つ掲載されている*4。だが、今回この5つを見つけることは出来なかった。どこか見えない位置にあったのか、別の場所に移動となったのかは分からない。
 

【奥社奉拝所】
 

 

命婦

お塚

奥社奉拝所の周辺は命婦谷と呼ばれている。鬱蒼と茂った木々や竹に囲まれた場所だ。散策していても、風が吹けば高く伸びた竹の先端がこすれ合う音が響く。
奥社奉拝所そばの大薮茶亭という茶店の横に、下へ降りる階段がある。この階段を使うのなんて、大抵はその先のトイレに用がある人だけだろう。だが、実はすぐ近くにお塚があることは余り知られていない。
 


『お山のお塚』では「命婦谷」と書かれているのがこの場所に当たる。
一番真ん中のお塚には、右から虚空藏大神、福髙大神、金𠮷大神と刻まれている(「藏」の字はくずし字)。
お塚は稲荷大神に好きな神名を付けて祀ると言われるけど、勿論稲荷大神以外を祀る例外もあって、この虚空藏大神なんかはまさにそうだろう。
それにしても普通は虚空蔵菩薩として仏様として祀られるけど、神様として祀られているのは面白い。お塚信仰は元々民間信仰ベースなだけに、神仏習合がそのまま残ってるんだろう。
この命婦谷のお塚には、他にも照𠮷大神とか日の出大神とか、よく知らないけどめでたそうな名前の神様が沢山祀られている。
 

お塚の手前には、狛犬や狛狐ならぬ狛狸が鎮座している。狛狸の奥に置かれた狸の置物も可愛い。
 

きよめの滝



命婦谷のお塚の直ぐ横の道から下の方に降りていくと「きよめの滝」という滝場があって、そこにもお塚が多数鎮座しているらしい。
「らしい」というのは、私自身は見に行っていないからだ。稲荷山はここ数年イノシシが出るようになっていて、正直言うと流石に人気のない(それこそ面白半分で探索する外国人観光客でも居ない限り本当に誰も居ない)場所に踏み込む勇気がなかったのだ。
 

命婦谷】
御祭神:虚空藏大神、福髙大神、金𠮷大神など
 

 

【きよめの滝】
 

 

根上り松

根上り松(膝松さん)



奥社奉拝所から熊鷹社の方面にも千本鳥居は伸びている。その途中の伏見神宝神社に向かう分かれ道の辺りに、先述の『お山のお塚』で「根上り松」と書かれているエリアがある。
一際目立つのが、堂々と祀られているこの松の木。これこそエリア名にもなっている根上り松だ。「根上り」と「値上り」をかけて、株価上昇や商売繁盛を祈願する人が多い。またこの松は別名を「膝松さん」といい、腰や膝の痛みにも霊験灼かだとされている。
 

稲荷塚


根上り松の横にもお塚が鎮座している。ここも「奇妙大明神」、「一一大神」、「ななつの大神」など独特な神名を刻んだものが多い。また、中には「膝松」と刻まれたものもあり、これは恐らく膝松さんを祀るのだろう。
 

【根上り松】
御祭神:根上り松、奇妙大明神、一一大神、ななつの大神など
 

 
今回は以上。次回は伏見神宝神社について。
 

脚注

*1:伏見稲荷大社御鎮座千三百年史』(伏見稲荷大社御鎮座千三百年史調査執筆委員会・編)494頁

*2:『稲荷をたずねて』(南日義妙・著)75頁

*3:『稲荷をたずねて』75頁

*4:具体的には、「荒木大明神」、「石宮大明神」、「金光大明神」、「国永大明神」、「春姫大明神」の5つ。