燈蓮寺伽藍堂 -RISING FALCON-

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稲荷山⑨:御幸辺を行く(三徳社〜御幸奉拝所)

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はじめに

今回は熊鷹社の先にある三ツ辻から四ツ辻へと向かう、御幸辺(下)と、その先の御幸奉拝所のある御幸辺(上)というエリアについて。
 
今までの稲荷山の記事はこちら
 
マップは以下の通り。(※画像が粗い場合は、クリックした先で「オリジナルサイズを表示」を選ぶと大きいサイズが表示される。)

 

御幸辺(下)



熊鷹社横の階段を上がって行くと、三ツ辻へと出る。ちょうど熊鷹社方面から行くとT字路の突き当たりで、左へ行くと毎日稲荷社や荒木神社の方面、右へ行くと四ツ辻や山頂方面に道が続いている。
この三ツ辻〜四ツ辻の道は、(このブログで何度も紹介している伏見稲荷が出したお塚調査記録の)『お山のお塚』によれば、御幸辺(下)というエリアになる。この御幸辺(下)は意外と距離があり、その途中に点々とお塚が鎮座する様子は、前回紹介した新池堤とはまた違った味わいがあって良い。
 

三浦大神・青木大明神・金秋大神、東亰淺草朝丸大明神



京屋という茶店の向かい辺りにあるのは、三浦大神・青木大明神・金秋大神を祀るお塚だ。このお塚自体は何の変哲もないお塚だけど、よく見ると左後ろにもう一つお塚があるのが分かる。
草で隠れて下の方がよく見えない。『お山のお塚』によれば、ここは東亰淺草朝丸大明神のお塚とのことだ。亰=京、淺=浅なので、つまりは東京の浅草の神様を祀っているということらしい。朝丸大明神という名前について調べてみたが、情報は全然見当たらない。
 

小松原大神、大松大神、西髙大神・松岩大神


稲荷山でも、個人的に三本の指に入るインパクトがあるお塚はこの大松大神。なんと言っても瓢箪の形ってのが凄い。巻いてある紐まできちんと再現されているのもポイントが高いと思う。
因みに大松大神の右側は小松原大神、左側は西髙大神・松岩大神のお塚だ。
 

黒田比古神、一ッ星大神・三ッ星大神、玉丸大神


こちらは三徳社手前にあるお塚で、右から黒田比古神、一ッ星大神・三ッ星大神、玉丸大神が祀られている。
一ッ星大神も三ッ星大神も由緒は不明だけど、一番になれたり高い評価が貰えたりしそうな神名だ。
 

清姬大明神・清丸大明神・大𠮷大明神・黒長大明神・天龍大




先程の一ッ星大神のお塚の左側の灯籠の横辺りをよく見ると、上へと続く道があることが分かる(消えかけているが)。ここを上っていくと、三徳社の後方の高い所にあるお塚を拝むことができる。
さて、この場所には幾つか鎮座しているけど、自分の目当てだったのがこのお塚。清姬大明神・清丸大明神*1・大𠮷大明神・黒長大明神・天龍大神が祀られている。
実は個人的な色々の理由で清姬大明神にお参りしたかった。この清姬が何者なのかは、お塚の由緒が不明だから知り様もないけど。
因みに稲荷山に「清姫」を冠するお塚は複数あって、『お山のお塚』と『続お山のお塚』を見る限り、全部で21ヶ所あるらしい*2
 

三徳社(三徳大神・大漁大神)



三徳亭ホームページ
このエリアで一番メインの社は、この三徳社だと思われる。
上に貼った三徳亭*3のホームページによれば、衣食住の神であるという。つまり、祀られている三徳=衣食住の徳ということで良いのかな。
また同ホームページには、魚河岸の神として有名との記載がある。これは三徳大神と並んで大漁大神も祀られているからなんだろう。
 

奥村大神・鞍馬大僧正、藥一大神、杉原大神・松永大神・小女郎大神



このエリアで最後に紹介するのはこのお塚。真ん中のお塚には藥一大神が、左のお塚には杉原大神・松永大神・小女郎大神の三柱を祀る。
そして右のお塚には、奥村大神と並んで鞍馬大僧正が祀られている。鞍馬大僧正といえば、後の源義経である牛若丸に兵法を授けたと伝説に語られる、鞍馬天狗の事だろう。
この何でもありな感じが、稲荷山のお塚の醍醐味と言えるのかもしれない。
 

四ツ辻


藥一大神の先へと進んで階段を上って行けば、四ツ辻へと出る。ここからの眺めは遠くまで見渡せるのでオススメ。ただし夏は日差しがとても暑いので、バテないように茶店にでも入った方が良いかもしれない。
 

【御幸辺(下)】
御祭神:三徳大神、大漁大神、東亰淺草朝丸大明神、清姬大明神、鞍馬大僧正など
 

 
 

御幸辺(上)

四ツ辻から荒神峰へ続く階段の途中から、御幸奉拝所のある御幸辺(上)エリアへ向かう道がある。
なおこのエリアは、『お山のお塚』が刊行された頃よりもお塚の数が増えているので、未掲載のものも多数ある。
 

地蔵尊?、道祖神



御幸辺(上)への道へは、荒神峰エリアの奥からも合流することができる。因みにこの合流地点からは、更に白滝方面への長い階段の道も伸びている(冒頭のマップ参照)。
その合流地点には、卍の幕が付いた地蔵尊らしき祠が祀られている(もしかしたら大日如来とかかもしれないけど、何も書いてないから分からなかった)。その祠の中には鳥居が奉納されていて、いかにも神仏習合といった気配だ。
また、祠の横に祀られているのは、よく見えないけど双体道祖神だろうか。
 
この地蔵尊からもう少し進むと、目的の御幸辺(上)のエリアに着く。
 

御幸奉拝所


御幸辺(上)のエリアの中心はこの御幸奉拝所だろう。昭和38年(1963年)に開かれた比較的新しいエリアで、鎮座するお塚の区画もきっちりしていて、全体的に綺麗な印象だ。
この御幸奉拝所には親塚が鎮座している。ここからも稲荷山の上中下社を遥拝できるのだろう。
 

正一位畑守稲荷大神


こちらは正一位畑守稲荷大神のお塚だ。とても綺麗に管理が行き届いているのが分かる。きちんと狛狐も両脇に控えていて、結構可愛い。
 

清玉大神


清玉大神のお塚の前には、このお塚の御神体の由緒が書かれた石碑が建っている。曰く「如意宝珠」なるものが御神体であって、お塚を建てた人の家の家宝として300年間受け継がれてきたらしい。
 

稲荷五柱大明神



こちらは稲荷五柱大明神。由緒書の碑文曰く、平良将*4後裔の相馬彦八正信(このお塚を建てた神成氏の先祖)の頃*5に祀った稲荷だとのこと。
 

横山大觀筆塚


これは「なんでも鑑定団」でたまに本物が出る印象のある日本画の巨匠・横山大観の筆塚だ。大観が伏見稲荷への崇敬が深かった縁で、この場所に筆塚が建ったらしい。
 

【御幸辺(上)】
御祭神:正一位畑守稲荷大神、清玉大神、稲荷五柱大明神など
 

 
次回は荒神峰の田中社神蹟。
今回は以上。
 

脚注

*1:「丸」は異体字

*2:内訳は、御幸辺(下)×1、荒神峰×3、白滝×1、清滝×2、一ノ峰×1、劔石×1、薬力×1、御産場東×1、八島滝×2、青木滝×3、七面滝×1、鳴滝×1、末広滝×3となっている。

*3:三徳社の目の前にある茶店

*4:桓武平氏の祖・平高望の子で平将門の父。

*5:宝暦7年(1757年)没なので1700年代の人物。