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はじめに
今回は薬力・傘杉・春日峠という3つのエリアについて。
今までの稲荷山の記事はこちら。
マップは以下の通り。番号が振ってあるのは、お塚の台座の番号だ。
(※画像が粗い場合は、クリックした先で「オリジナルサイズを表示」を選ぶと大きいサイズが表示される。)

薬力

劔石から進むと薬力のエリアに出る。ここにはエリア名にも
なっている薬力社をはじめ、おせき社や石井社といった社も鎮座している。
おせき社


劔石方面から階段を降りてくると、一番最初に左手に見えてくるのがおせき社だ。
ここは御せき大神*1のお塚を始めとして、数多のお塚が鎮座している。奉納された小鳥居も膨大な数で、お塚の字が見えないほどになっている。
御せき大神は咳や喉関係に霊験灼かだとされている*2。このBS朝日のホームページを見る限り、役者からの崇敬も篤いようだ。
薬力の滝

ここは「薬力の滝」と呼ばれる滝行の場だ。普通、稲荷山の滝は(清明滝や清滝を除けば)伏見稲荷の境内地の外側にあるけれど、ここは珍しく境内地にある。

滝の真下には不動明王が祀られている。
石井社


石井社には石井大神が祀られている。石井大神は長寿の御神徳があるらしい*3。
薬力社


薬力社には、このエリア名にもなっている薬力大神が祀られている。無病息災と身体健全が御神徳であるらしく*4、掲示によれば薬効・薬害・健康・息災を守護してくれるとのこと。
金冨大明神

金冨大明神(扁額の神名は「金富大神」)とは、いかにも金運の御神徳がありそうな趣の神名のお塚だ。
見ての通りかなりの数の小鳥居が奉納されており、篤い崇敬を受けていることが分かる。
岩瀧大神


茶店の横辺りから傘杉社の方面へ抜けるための道を行くと、この岩瀧大神のお塚がちょこんと木の根本に建っているのが目に入る。
台座の上ではなく、木の根元のあたりにお塚が鎮座しているのは余り見かけないので珍しい。
【薬力】
御祭神:御せき大神、石井大神、薬力大神など
傘杉

薬力から朱の鳥居の連なった道を通り、先へ進むと傘杉のエリアとなる。ここはメインのルートからは少し外れるためか、ほとんど人の気配はない。
傘杉社


このエリアの名前にもなっている傘杉大神を祀る。拝殿の後ろに杉の巨木が聳え立っていることから、恐らくこの杉の木が御神体なのだろう。
伏見稲荷と杉の関係は意外と古く、平安時代には稲荷社参拝の際は、稲荷山の杉の小枝を「しるしの杉」として身に付ける風習があったそうだ*5。
三本杉社

ここは傘杉社の近くにある三本杉社で、三本杉大神を祀る。やはり後ろには立派な杉の木が聳えている。
天龍社

ここは天龍社という社だ。名前の由来は何から来ているんだろう。ぱっと思い付くところでは、次の2つだろうか。
①高級木材の「天竜杉」に由来する。
②「伏見稲荷講社舞鶴天龍支部」の名前が見えることから、舞鶴の「天竜通り」に由来する*6。
①は杉関連の社が多いからありそうだし、②も軍港のあった舞鶴なら有り得そうだ。凄く気になるけど、知りようもなさそうなのが残念。
【傘杉】
御祭神:傘杉大神、三本杉大神、天龍大神など
春日峠


来た道を引き返して薬力に戻り、本来のルートを真っ直ぐ行くと、春日峠に差し掛かる。
春日峠もお塚が幾つか並んでいる。『お山のお塚』にはお塚の台座番号は記されていないけど、御膳谷奉拝所のお塚配置図には春日峠もついでに記載されており、番号も振られている。

この台座には、金と龍を神名に冠するお塚が2つ並んでいる。金運を願うのも良いかもしれない。
左手前の「鏡山」は由来も分からないが、めでたそうな名前だ。
日ノ車大神・豊玉大神・草ノ森大神

このお塚は「草ノ森大神」の神名が良い響きだと思ったので参拝。
「日ノ車大神」というのも変わった神名だ。
経塚


ここ春日峠では、明治44年(1911年)に経塚(経典を埋めた塚)が発掘されている。ここから発掘された出土品は、東京国立博物館が保管しているらしい*7。
【春日峠】
御祭神:金龍大神、草ノ森大神など
今回は以上。次回は御膳谷・眼力・大杉について。
脚注