燈蓮寺伽藍堂 -RISING FALCON-

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稲荷山㉕荒廃している御壷滝と整然とした五社滝

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はじめに

今回は御壷滝と五社滝について。
伏見稲荷山関連記事も次回でラスト!!
 
今までの稲荷山の記事はこちら
 
マップは以下の通り。番号が振ってあるのは、お塚の台座の番号だ。
(※画像が粗い場合は、クリックした先で「オリジナルサイズを表示」を選ぶと大きいサイズが表示される。)

 

御壷滝

前に記事で書いた 御幸奉拝所横の道を東福寺方面へひたすら進んでいくと、住宅地に出る。そしてその近くに、この御壷滝*1というエリアはある。
なお稲荷山を経由しない場合は、伏見街道から東福寺交番横を通り、東福寺北門を抜けて日吉ヶ丘高校の横の道をひたすら進むと辿り着く。
 


住宅地のかなり細い路地に面して、「伏倉大神」と書かれた扁額の、色褪せた朱の鳥居が佇んでいる。
 

鳥居をくぐって境内に入れば、其処彼処にお塚が並んでいるのが分かる。
御壷滝境内は荒廃している。もちろん崇敬者がきちんと手入れしているお塚も幾つかはある(令和に入ってからの奉納鳥居もあった)。しかし多くのお塚は苔が生えていて、中には倒壊しているものもあり、境内は草木が伸びて落葉落枝が積り放題となっている。
かつては管理者が住んでいたがここ10年ほどは不在で、管理者宅も空き家となっているようだ*2
 
個人的には、この寂れた感じは味わいがある。また、後述する五社滝とは全く対照的なのも印象深い。
 

白鬚大神、厄除不動明王


かつてはこの境内で一番立派だっただろう社殿が、管理者宅の前辺りにある白鬚大神だ。
社はかなりボロボロで、屋根も破損しているし、鈴も落下している。
さらに神社幕は破れ、扉は開きっ放し。
この石の鳥居も、いつまで保つのか怪しい。参拝する人は、鳥居が崩れないか注意が必要だろう。
 

なお社殿の前には厄除不動明王も祀られている。
正直、この不動明王の厄除の御利益によって倒壊ギリギリ廃社寸前のところで保たれてるんじゃないかと思えるほどだ。
 

日ノ本大神


ここは日ノ本大神のお塚だ。国の名を冠するとは、かなり縁起が良さそうな神名だ。
このお塚はきちんと管理している方がいらっしゃるので、かなり整然と保たれている。
管理者の方はたまたま私が御壷滝に行った際も、ご家族で参拝なさっていた。
 

荒熊大神・善光寺如來尊・白蛇大辨戝天


日ノ本大神の横にあるお塚で、三柱を祀る。
荒熊大神は詳細不明だが、稲荷山のお塚の中にはこの神名を刻んだものが幾つかある。
善光寺如來尊は、長野の善光寺の御本尊である阿弥陀如来のことだろう。
白蛇大辨戝天は、龍神と弁財天が習合しているんだろうか。
 

千代丸大神・伏倉大神・千代姫大神


千代丸大神と千代姫大神は共に「千代」を冠する神だが、詳細不明。
伏倉大神は、境内入口の鳥居の扁額に書かれていた神名だ。
 

神璽の祠



苔生した祠の中に、神璽が祀られている。
神璽は右から御崎大神璽、木野山大神璽、柏島大神璽、玉島大神璽となっている。
各神璽については詳細不明ながら、調べてみると御崎神社、木野山神社、柏島神社は岡山県内にあるようなので、そのあたりの神社からの勧請なのかもしれない。
 

桜大神、暗不動明王・鞍馬大僧正・太郎仿權現


桜大神は神名からすると、そのまま桜の神様なんだろうか。
不動明王は何が「暗い」不動明王なのか調べても分からなかった。
鞍馬大僧正は、今までも何度か記事で書いた通り鞍馬天狗のことと思われる。
太郎仿權現は、愛宕山太郎坊という天狗のことだろうか。
 

義經大神・稲荷大神


このお塚は義經大神と稲荷大神を祀る。
義経大神という神名は中々珍しいけど、源義経を祀るんだろうか。
これが源九郎大神という神名なら恐らく源九郎狐*3を祀るんだろうと理解できるんだけども(実際、稲荷山の幾つかのお塚に祀られている)。
まあ、『続お山のお塚』によれば、明心というエリアには「源三位頼政大明神」*4が祀られているらしいので、源義経が祀られていても不思議はないのかもしれない。
 

御壷瀧大神ほか多数


ここは「御壷瀧大神」と書かれた鳥居の先に、洞窟が続いている。
神名は御壷滝のエリア名を冠している。
 

菊永弁才天・菊白弁才天・光玉明神・玉光大神・猿田彦大神・𠮷髙大神・光春大神・米光大神の八柱の神名が刻まれたお塚が、洞窟入口に嵌め込まれている。
 


洞窟内には石の祠が鎮座している。ここに御壷瀧大神が祀られているんだろうか。
祠の前には不動明王と思しき像が、祠の右側には白光辨戝天のお塚が祀られている。
また、祠の前の奉納された小鳥居には「當山大神」と書かれているが、詳細は不明。
 

松栄大神(落下)


このお塚は、元あった場所の後方に落下して倒れてしまっている。
碑文は堆積した落葉落枝で「松」の字しか判読不能だけど、『続お山のお塚』を見る限り、松栄大神*5のお塚であると思われる。
 

お滝



このエリアにも、他のエリアのようにお滝がある。
ただ、現地にある石標には「白鬚の瀧」と書かれている。白鬚滝がこのお滝なら、御壷滝はどこにあるんだろうか。
 

境内を散策していると、白鬚滝の右手側に更にお滝がもう1つあるのを発見した。
特に石標は見当たらないけど、これが「御壷滝」じゃないかと思う。
現地では確認できなかった(倒壊して埋もれているのかもしれない)けど、『続お山のお塚』にはこの場所の近くに「お壺主神」のお塚があることになっている。このことからも、このお滝が御壷滝の可能性はあると思われる。
 
伏見稲荷全境内名所圖繪
因みに上記リンクのとおり、『伏見稲荷全境内名所圖繪』にも「御壺ノ滝」として記されている。
 

余談


このエリア、管理者宅の縁の下にトランクケースが捨てられていたり、お塚の前に風呂敷包みのトランクケースが放置されていたりする。
正直、不気味過ぎて怖い。いつもは殆ど人が居ないので、何か良からぬものでも捨てられたんじゃないかと不安になる。何事もなければ良いんだけど……。
 

【御壷滝】
御祭神:白鬚大神、日ノ本大神、善光寺如來尊、伏倉大神など
 

 

五社滝


ここは御壷滝の少し下の方にある五社滝と呼ばれるエリアだ。出雲大社教七条教会の方が管理されている。
境内はいつも綺麗に整えられていて、御壷滝とは正反対の印象を受ける。
 
写真は無いが、管理者の方にお滝も見せて頂いた上、大国主大神を祀る神殿にも参拝させて頂くことができた。
お滝には不動明王が祀られていたほか、お滝の上部には天照大神天御中主神大国主命の神名が刻まれた御幣型のお塚が祀られていた。
 

五社大明神



恐らくこのお塚が五社滝のメインのお塚だろう。
お塚には文字ではなく、何かのマークが彫られているのが特徴的だ。
管理者の方に伺ったところによれば、五社とは倉稲魂命大己貴命・太田命・大宮売命保食命の五柱であるとのことだった。
 

末𠮷大神・白葉久大神・七面大天女


このお塚には三柱が祀られる。
末𠮷大神は詳細不明だが、お塚によく刻まれている神名だ。
白葉久大神*6も詳細不明。
七面大天女は法華経の守護神として日蓮宗で祀られる神で、龍神とされている。
 

日蓮大菩薩


このお塚には「南無妙法蓮華經」の御題目と共に、「日蓮大菩薩」と刻まれている。
日蓮は入滅後に北朝後光厳天皇から「大菩薩」号を賜っている。
それにしても、日蓮の名を刻んだお塚は珍しい。
 

【五社滝】
御祭神:五社大明神、七面大天女、日蓮大菩薩など
 

 
今回は以上。
次回は稲荷山関連記事の最終回。
伏見稲荷の境外社について!!
 

脚注

*1:「御壷滝」以外に「御壺滝」「御壺瀧」「御壺ノ瀧」など色々表記揺れがある。記事では基本的には『続お山のお塚』に従って「御壷滝」表記とする。

*2:実際、2010年のゼンリン住宅地図では管理者宅に管理者名が確認できる。

*3:源九郎義経を助けたことで源九郎の名を貰った狐。

*4:鵺退治伝説で有名な、清和源氏頼光流の武将。

*5:恐らく碑文は「松榮大神」と旧字体で書かれていると思われる。ただ『続お山のお塚』は神名を全て新字体に直して収録しているため、それに従う。

*6:「久」は異体字となっている。