はじめに
地下鉄烏丸線烏丸御池駅で降りて御池通を東へ200mほど進んだ辺りに、御所八幡宮が鎮座している。
御所八幡宮
御所八幡宮は応神天皇・神功皇后・比売神の八幡三所を祀る神社だ*1。
弘安元年(1287年)には中院家邸内社として鎮座していたらしい。
この年内裏が焼失し、後宇多天皇が中院家に行幸した際に親しく参拝したために「御所八幡宮」と呼ばれたとされる(但し「御所」の由来は後述の説もある)。
南北朝時代には足利直義の邸宅がこの地にあったので、御所八幡宮もその邸内社だったのだろう。
直義の死後は兄の足利尊氏が足利氏鎮守として殿舎を整備するなどしたため、「御所八幡宮」と呼ばれたともされているようだ。
また『雍州府志』によると、尊氏が新田義貞との戦の際にこの神に祈ったところ、霊鳩飛翔の霊異があり、その後義貞が敗死したというエピソードが伝わっている*2。
結局のところ、「御所」の由来については後三条天皇由来なのか足利尊氏由来なのかは不明だ。
とにかくその後は皇室や足利将軍家の崇敬を受けていたが、室町幕府滅亡以降は衰退して規模も縮小していった。
更に戦時中の強制疎開により、中京区御所八幡町から御池通を挟んだ向かい側の現在地に遷座させられる羽目になった。
御利益は安産・幼児守護など。
三宅八幡宮*3と並んで「虫八幡」と称されるとのことで、虫封じの御利益もあるのだろう。
初音稲荷社、猿田彦社・大宮比賣社・金刀比羅社
天満宮社の右側には2社が並んでいる。
右側は初音稲荷社といって宇賀御魂神を祀っている。
左側は猿田彦社・大宮比賣社・金刀比羅社*5が一つ屋根の下に祀られている。
猿田彦社は猿田彦命、大宮比賣社は大宮姉命*6、金刀比羅社は琴比良神を祀っている。
なお由緒書の掲示には上記3社以外に天満宮社も合殿とあり、「天満宮」の扁額も掛かっている。
しかし天満宮社は先述の通り合殿の左側に別に建っているのでよく分からない。
もしかすると合殿から遷して単独の社としたのか、或いは先述の天満宮とは別の天満宮が合殿に祀られているかのどちらかだろうと思われる。
【御所八幡宮】
住 所:京都府京都市中京区亀甲屋町596
御祭神:応神天皇、神功皇后、比売神
社祠等:高良社(御祭神:高良玉垂命)
天満宮社(御祭神:菅原道眞命)
初音稲荷社(御祭神:宇賀御魂神)
猿田彦社(御祭神:猿田彦命)
大宮比賣社(御祭神:大宮姉命)
金刀比羅社(御祭神:琴比良神)
創 建:1278年以前
H P:京都観光Navi「御所八幡宮」