弥生慰霊堂
皇居の北側にある北の丸公園。
田安門から入り、道なりに進んでいくと日本武道館が目に入る。
しかし、武道館のすぐ横にある弥生慰霊堂を知っている人は余り多くはないだろう。
狛犬に挟まれた車止めの柵の先には階段があり、これを上れば社殿が見えてくる。
ここが弥生慰霊堂だ。
殉職した警察官・消防士を祀っており、また警察制度の確立に多大な功績のあった大警視の川路利良と御雇外国人のガンベッタ・グロースも併せて祀られている*1*2。
言ってしまえば警察・消防版の靖国神社のようなものなのだろう。
なお御祭神の中には、2・26事件の際に蹶起部隊に殺害された警察官の村上嘉茂左衛門・土井清松・小館喜代松・清水与四郎・皆川義孝の5柱も祀られている*3。
弥生慰霊堂は元々明治18年(1885年)に殉職警察官87柱と川西大警視・グロースを御祭神とする弥生神社として本郷区*4の向ヶ丘弥生社構内に創建。
明治20年(1887年)に芝公園、明治23年(1890年)に鍛治橋の警視庁構内、明治44年(1911年)に青山墓地、昭和6年(1931年)に麹町区*5隼町と遷座を繰り返し、昭和22年(1947年)になって現在地に遷座した*6。
なお戦後は国家神道の解体に伴い警視庁が神社を持てなくなってしまったため名称を弥生廟と改め神社形式を廃止*7、のち昭和58年(1983年)頃には名前が弥生慰霊堂に再度変更されている*8。
ただ神社形式を廃止とはいえ、鳥居こそないが狛犬や社殿を見れば元々は神社だったらしいことが分かる。
境内には「昭和天皇御野立所」と刻まれた石碑がある。
これは関東大震災後に当時摂政宮だった昭和天皇がこの地から被害状況を一望の下に眺めた場所のため、記念碑が立てられたようだ。
【弥生慰霊堂】
住 所:東京都千代田区北の丸公園2-4
御祭神:殉職警察消防職員、川路利良、ガンベッタ・グロース
社祠等:無し
創 建:1885年10月7日
H P:無し