沖御前神社
稲佐の浜は『日本書紀』では「五十狭狭の小汀」「五十狭田の小汀」、『古事記』では「伊那佐の小浜」、『旧事紀』では「五十狭田の小汀」として登場し、国譲りの舞台となっている*1*2*3。
更に『出雲国風土記』にて語られる国引き際に使われた綱である「薗の長浜」ともされている*4。
神在月には神迎神事(その名の通り出雲に訪れた神々を出迎える神事)も行われる、出雲大社にとっても重要な海岸だ*5。
そんな稲佐の浜に、弁天島という島が浮かんでいる。
正確に言えば、ここ数十年で島と稲佐の浜との間に砂が大量に堆積してしまい、ほぼくっついてしまったらしい*6。
ただ今回は潮が満ちていたのだろうか、ギリギリ海に浮かんでいた。
弁天島には、沖御前神社という社が建てられている。
御祭神は明治時代までは島の名前にもなっている弁財天を祀っていたが、明治時代になって豊玉毘古命へと御祭神が変更されてしまったらしい*7。
豊玉毘古命とは豊玉姫命の父神である海神(『日本書紀』神代下第10段一書第1では「海神豊玉彦」と書かれている)のことだろうか*8。
それにしても、元々の御祭神の女神である弁財天が市杵島姫命ではなく、男神に代えられたというのは中々珍しい気もする。
なお由緒書の掲示等が見当たらなかったため、神社について詳しくは不明だ。
なお、稲佐の浜は自分が行った令和4年(2022年)10月頃は絶賛工事中だった。
弁天島の前をテトラポッドを担いだパワーショベルが何度も通り過ぎるという珍しい光景を見られたのは、却ってラッキーだったかもしれない。
ショベルカーの後ろ姿と欄干に止まるカラスという味のある写真も撮れてしまった。
【沖御前神社】
住 所:島根県出雲市大社町杵築北
御祭神:豊玉毘古命
社祠等:無し
創 建:明治時代以前
H P:出雲観光ガイドHP「稲佐の浜」