<2024年9月 記事内容改訂>
はじめに
五反田にTOCビルと呼ばれるビルがあった。
昭和45年(1970年)に竣工したこのビルは、テーオーシー(星一が創業し後に息子の星新一も社長を務めたこともある星製薬が、子会社の東京卸売センターと合併した後の社名)という会社のビルで、令和6年(2024年)3月をもって惜しまれつつ閉館した……
……はずだったのだが、建築費高騰等を理由に令和15年(2033年)まで建て替えが延期されてしまった。
更には、なんとこの9月から営業を再開したのだ*1。
これには元々入っていたテナントも流石に困惑したらしいことが報じられていた*2。
ところで、このビルの屋上には氷川神社が祀られていた。
そこで、令和元年(2019年)に氷川神社へ参拝した時のことを書いていく。
氷川神社
由緒書の掲示によれば、御祭神は主祭神として素戔嗚尊を祀り、誉田別尊・建御名方命・面足命・惶根命を合祀している。
合祀された神々は、後述の明治時代に合祀された神社の御祭神ということなのだろう。
創建年代は不明ながら江戸時代から桐ヶ谷村(現在の西五反田)の鎮守だったらしい。
明治41年(1908年)には桐ヶ谷村の八幡神社・諏訪神社・廣智神社を合祀。
平成11年(1999年)に至って、TOCビル屋上に新社殿を建立となったようだ。
由緒書の看板は上記の写真の通り木製であり、参拝した令和元年時点で既に色が褪せかけておりかなり読みづらくなっていた。
そこで、書かれていた文章を下に掲載する。
御祭神 主神 素戔嗚尊 (すさのおのみこと)
合祀 誉田別尊 (ほんだわけのみこと)
建御名方命 (たけみなかたのみこと)
面足命 (おもたるのみこと)
惶根命 (かしこねのみこと)御神徳
一、安住の天地をつくる神
一、清浄と正直を示す神
一、罪を祓い救ひの手を差し伸べる神素盞鳴尊は古より農業の守護神として崇拝されておりますが、その根本使命は、この国土、国民を立派に生かし、且つ伸ばし、育てる心を本来とするものであり、この大神の救いの手を信じ、祈り捧げるならば、右御神徳により、その霊験は必ず現れ、正しい御加護があるとされます。
氷川神社の由来
氷川神社は関東地方において素盞鳴尊を御祭神とする神社の総称です。
当地の氏神である氷川神社は、御創立年代は不詳ですが、江戸時代より桐ヶ谷村と呼ばれた西五反田一円の鎮守であり、明治四十一年九月十三日
に同じ桐ヶ谷村にあった八幡神社、諏訪神社、廣智神社(第六天)を氷川神社に合祀致しました。
下りまして、平成十一年六月九日、株式会社テーオーシーは当地の氏神様の御神徳を賜りたく、TOCビル屋上乾隅を緑深き良き処と定めて新社
殿を建立し、氷川神社より御分霊をいただきお祀り申し上げました。
さて、上で令和元年の参拝の様子を紹介したが、現在はどうなっているのか。
実は営業再開後は屋上は立ち入り禁止となっており、関係者でもない一般人の我々には現状は知る由もない。
今後も屋上を開放するのかどうか電話で問い合わせてみたが、まだどうなるかは不明とのこと。
なお、神社はまだあるらしい。
【氷川神社】
住 所:東京都品川区西五反田7-22-17
TOCビル屋上
御祭神:素戔嗚尊 外4柱
社祠等:無し
創 建:江戸時代
H P:無し
脚注
*1:「五反田TOC、建築費高騰で建替延期 9月に営業再開」『Impress Watch』(2024年4月9日)
*2:「既に退去のテナントは困惑 東京の「一等地ビル」が建て替え計画“9年間延期” 解体から一転…リニューアル再開へ」『FNNプライムオンライン』(2024年5月25日)