燈蓮寺伽藍堂 -RISING FALCON-

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サッポロスプリングス資料 その1:SAPPORO FACTORY MOOK

サッポロスプリングス資料記事
その0:サッポロスプリングス、その後
その1:サッポロファクトリー オフィシャルガイドブック SAPPORO FACTORY MOOK
その2:デザインの現場 1993年 4月号増刊
その3:その他諸々
その4:追加分

 

はじめに

2009年に書いたサッポロスプリングスについての記事に今でも割とアクセスがあるんですが、サッポロスプリングス(長いので以下"SS"と省略)のことを皆さんそんなに覚えているんでしょうかね?
(※2009年の記事については先日追記をしました)
しっかし、本当に良い施設でしたよねえ。
幻想的で非日常な雰囲気もありつつ、ファミリーでも気軽に楽しめるという素晴らしさ。
細部まで凝ったデザインも素敵でした。
僕は昔からサッポロファクトリーが大好きなのですが、それは子供の頃に体験したSSと天体工場(かつてレンガ館と三条館間の通路の途中に、星を造る工場をコンセプトとした美しい施設があった)に因る所が大きい気がします。
いつまでも忘れられないんですよ、あの光景。
 
まあ、兎にも角にも需要があるのかは分からないですけれども、SSについて僕が把握できている範囲で、情報が載っている書籍について紹介したいと思います。
まず今回は『サッポロファクトリー オフィシャルガイドブック SAPPORO FACTORY MOOK』についてです。

SAPPORO FACTORY MOOK


出版社: サッポロビール開発株式会社
発行日: 1993年4月9日

掲載頁:表紙裏、P.20、24~25、64~65、96~97、165、168~169

この記事でも書いた通り、amazonヤフオクなどでも見かけたことがないくらい入手が困難な、サッポロファクトリー開業当初の公式ガイドブックです。
当時のこの本の定価は400円。リーズナブルですね。
 

表紙裏

まず表紙をめくるといきなりSSの広告が登場。
載っている内容の多くは後で紹介する96~97頁と基本的には情報がかぶっています。
 
まず、SSが「天然温泉アミュージアム」を名乗っていたことが分かります。
施設内には18種類40タイプもの温泉があるとのことで、こんなに種類が多かったのかと正直僕も驚きました。 
プール内は大きく分けて「ザ・プール」「露天国」「奥の郷」の3区画だったようです
(※但し97頁の説明によると区画はこの3つに「キッズ・スクエア」を加えた4区画で記述されています)。
「奥の郷」については、他の頁のどこにも登場しない内部写真がここには掲載されているので、大変貴重です。
 
入場料は大人が2,700円、子供が1,300円、3歳未満は無料。
タオルやパーカー、水着の有料レンタル有。
営業時間は
【1~6月/9~12月】平日:11~24時、土日祝日・夏休み期間:10~24時
【7~8月】平日:11~26時、土日祝日・夏休み期間:10~26時
だったようで、かなり深夜まで営業していたことが分かります。
 

20頁


この頁では、大アトリウムに隣接して小アトリウムがあり、その小アトリウムの内部がSSである旨が記されています(上図参照)。
また、かなり高い位置からプール全体を見下ろした写真が掲載されています。
(※二条北館は現在の二条館)
 

24~25頁

ここでは「内部空間」のタイトルと共に、複数枚の写真が掲載されています。
SS関連では、24頁の方に更衣室の写真が、25頁の方にはロビーへ続く通路である「光の廊下」の写真及び「光の廊下」手前のエントランスの写真が掲載。
エントランス部分には壁画が描かれていますが、『デザインの現場 1993年 4月号増刊』(この本については今度紹介します)66頁によると、これはグラフィックアーティストの谷口広樹氏による作品だそうです。
 

64~65頁

サッポロファクトリー全体のフロアマップが掲載されています。
二条北館4階にSSはありました。
 

96~97頁

館内紹介のSS部分の記事なので、情報量多め。
掲載写真はプール全体像、ロビー、光の道、露天国。
SSのロビーの写真は中々に珍しいんじゃないでしょうか。
 
SSの温泉は天然温泉で、温泉名を「札幌麦酒工場温泉」というのだそう。
モチーフは古代遺跡とのことです。
何故ピラミッドみたいな構造物があるんだろうか?と子供の頃の僕は思ったものですが、これを読んで納得しました。
 
温泉の区画については「裏表紙」の項でも触れた通り、「露天国」「キッズ・スクエア」「ザ・プール」「奥の郷」の順に4区画が紹介されています。
 
★露天国
名前からも分かる通り露天風呂などのゾーンです。
「太陽のピラミッド」内部にある「雪見洞窟」を初めとして、一面に浅く湯が張られた「水の庭」、そして水の庭に整然と並ぶ「カマクラミッド」などから構成されています。
日が暮れてからカマクラミッドに入ると、夜空が綺麗だった記憶があります。
この「露天国」はSSからワンデイスパに名前が変わった頃に閉鎖されてしまったはずです。
「夏の径」「冬の径」という施設名も載っていますが残念ながら記憶にないです。
 
★キッズ・ズクエア
先述の「夏の径」「冬の径」なる場所を通って行くと記述されています。
キッズプールが設置されており、子供でも楽しめるようになっていました。
傾斜面になっている「スライダー・スペース」というのもあったようです。
 
★ザ・プール
本施設のメインである大プールを中心とした区画です。
大プールは水中に設置された照明が幻想的でした。
ピラミッドの形をした「クアミッド」もこの区画にありました。
僕自身は余り覚えていないのですが、ガイドブックによれば「クアミッド」にはジェットバスが組み込まれていたようですね。
また、プールサイドのスロープを上っていくと展望ジェットバスがありました。
結構好きだったのですが、ある時期から(時期についてはSS時代かワンデイスパ時代かは定かではないですが)ずっと閉鎖されていたような覚えがあります。
プールサイドには「打たせ湯」なんてのもありました。
ガイドブックには他にも「ジェットリング」「コンガリーン(サンタン)」「ウォーターバー」といった施設の名前が挙がっていますが、全くもって記憶にありません。
一体どんな施設だったんでしょうかねえ。気になる。
 
★奥の郷
その名の通り一番奥にあるエリアで、どことなく静かで落ち着いた雰囲気の、個人的には一番お気に入りの場所でした。
浅くお湯が張られたスペースが広がっていて、その浅瀬の中で一部深い部分が少し大きめの浴槽(ガイドブックにある「湯の池」とはこれのことでしょうか)となっており、その浴槽の後方には「カゲユ」という少人数用の浴槽が3、4ヶ所(或いはもっと?)あったような気がします。
「カゲユ」以外にも多種多様な温泉施設があり、その中でも「ザ・ヒノキ」という檜風呂が大好きでした。
僕が生まれて初めて入った檜風呂もここだったと思います。
このエリアの他の施設としては「湯の川」「ジャワワ」「ノビノビット」「半月」「アチチ」「ヒヤヤ」「せせらぎ」「ボディシャワー」「温暖室」「湿暖室」といったものがありました。
なお、この「奥の郷」もワンデイスパに変わった頃に閉鎖されてしまった覚えがあります。
「露天国」と「奥の郷」がなくなったことで非常にがっかりしてしまい、ワンデイスパ以降は余り行かなくなってしまったんですよね。
 
★ラウンジ
このガイドブックには、プール以外の施設についても記述があります。
その中でも注目すべきは「ラウンジTOMPA」でしょうか。
このラウンジは確かプール横にあったもので、TOMPAの名前は恐らくトンパ文字という中国少数民族の文字から取られているのでしょう。
そのため個々のラウンジのガラスには様々なトンパ文字が描かれていたのを覚えています。
デザインの現場』の方にも、SSの企画を担当した榎本了壱氏へのインタビュー記事(121頁)の中で「中国のトンパ文字を使ってレストランのガラスの彫刻を」と書かれていますね。
 
余談ですが上記のプール内の施設の一連の記述については、この本の表紙裏掲載の写真と、『デザインの現場』の122頁のSSの模型写真を見比べている内に細かい部分を色々思い出せたので助かりました。
 
【2018年12月29日追記】
「露天国」エリアの「夏の径」については、『デザインの現場』の122頁のSS設計者・竹山聖氏の描いた平面図の中に名前を見つけることが出来ました。
それを基に考えると、「水の庭」の一角に伸びる屋内へと続く道こそが「夏の径」であったのかな、と思います。
「冬の径」が何であったのかについては依然不明です。

165頁

お湯が張られていない状態での「水の庭」、「カマクラミッド」、「太陽のピラミッド」の写真が掲載。
お湯がない状態の写真は珍しいのでは。
 

168~169頁

168頁右下に「クアミッド」の辺りから大プールを撮影した写真が掲載。
日中に撮られているからか、プール上空に吊るされている舟のオブジェの内部もよく見えます。
 
169頁右上には何やらトンパ文字のようなものが書かれたガラスの写真が。
 

最後に

さて、今回は『サッポロファクトリー オフィシャルガイドブック SAPPORO FACTORY MOOK』の中のSSについての記述がある個所について紹介しました。
もし奇跡的な確率でこの本に巡り合うことが出来たら、ぜひ手に取ってみて下さい。
あの頃のサッポロファクトリーの雰囲気を存分に味わえるかと思います。
今度は『デザインの現場 1993年 4月号増刊 北の・あたらしい・まちづくり|サッポロファクトリー』について紹介できればと思っています。

というわけで今回は以上。

【2018年12月29日追記】
次の記事:その2:デザインの現場 1993年 4月号増刊 



 
 

先住民を慰霊・鎮魂する岩田木神社

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<2022年8月 記事内容改訂>

はじめに

以前洞爺湖神社について調べた際に、『物語虻田町史』に変わった神社が掲載されていたので参拝へと向かった。


まず、JR室蘭本線の洞爺駅へ向かう。
洞爺駅は平成18年(2006年)に改築されたため、かなり綺麗な外観をしている。


神社へ向かうには、駅の真正面の道を100mほど南西に進む。


歩いて行くとそのうち右側にかなり背の高い木が見えて来る。
そしてその木の真下に、今回の岩田木神社が鎮座している。

岩田木神社


岩田木神社はかなり小さな社だ。
あまり修繕されていないのか、今回参拝した際には扉が壊れて中が丸見えになっていた。

岩田木神社の建立経緯は少し変わっている。
虻田町史 第3巻』によれば、元々この神社のある一帯は先住民の墓地(正確には先住民以外も埋葬されていたようだが、大半の被葬者は先住民であったらしい)だったため大量の人骨が出土してしまい、その骨は墓を建立して慰霊・鎮魂をしていたが、いつしかその墓が神社へと変更され、出土した人骨は役場が無縁墓地へと改葬したとのこと*1
なお、荒地の墓場だったこの土地に人が住み始めたのは文政5年(1822年)の有珠山大噴火に伴う集落移転によるものなので、岩田木神社の創建もそれ以降ということになる*2
という訳で、恐らくこの神社は先住民の御霊を祀っているということなのだろう。

現在の状況は不明だが、この『物語虻田町史』が出版された平成13年(2001年)当時は稲荷神社(何処の稲荷神社か記載は無いが、平成6年(1994年)に社名を稲荷神社から改称した虻田神社ではないかと思われる)の宮司が神事を行い、また6月25日には大祭も行われていたらしい*3

なお岩田木神社の社名は、かつてこの神社を管理していた「岩佐」「吉田」「大木」の3家から1文字ずつ取ったものとのこと*4

【岩田木神社】
住 所:北海道虻田郡洞爺湖町本町
御祭神:先住民の御霊?
末社等:無し
創 建:1822年以降
H P:無し

脚注

*1:虻田町編集委員会編『物語虻田町史 第3巻(教育・文化編)』(2001年、虻田町)396〜397頁

*2:同書、396頁

*3:同書、396頁

*4:同書、397頁

千歳水族館、インディアン水車、そしてサケ神社

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千歳水族館

千歳水族館
先日、千歳水族館へと行ってきました。この水族館は道の駅「サーモンパーク千歳」と同じ敷地にあります。
館内はサーモンゾーン、支笏湖ゾーン、体験ゾーンなど幾つかのゾーンに分かれています。
 
期間限定ベニザケ
この水族館の特徴は、何と言ってもサケ類の展示量の豊富さでしょう。僕が行った時には、期間限定で真っ赤なベニザケが展示されていました。因みに展示の解説によれば、ベニザケとヒメマスは同じ種で、海に下りるか湖に残るかの違いなのだそうです。
 
ヤマメとギンザケ
ヤマメとギンザケの水槽です。ヤマメについても、海に下りるものがサクラマス、河川に残るものはヤマメと呼び分けられているのだとか。
 
シロザケとサクラマス
こちらはシロザケとサクラマスの水槽。結構サイズが大きいので迫力があります。
 
大水槽
サーモンゾーンで一番大きな水槽です。
展示されているのはシロチョウザメ、アムールチョウザメブラウントラウトマスノスケ、イトウ、サクラマスニジマス、ギンザケの8種類です。この内、マスノスケキングサーモンという名前の方が有名でしょうか。後は、幻の魚と呼ばれるイトウが展示されているのも素晴らしいです。
 
支笏湖大水槽
支笏湖ゾーンには、支笏湖の景観を再現した大水槽があります。暗みがかった青色がとても綺麗。
展示されているのはアメマス、ニジマス、ギンブナ、エゾウグイ、ヒメマス、ブラウントラウト、ヌマチチブの7種。
 
エサやり水槽
体験ゾーンにはエサやり水槽があります。これは1回100円のガチャガチャでエサを購入し、ヤマメにあげることができるというものです。
また、この水槽の隣にはタッチプールなどもあり、子供たちには人気のようです。
 
潜るカイツブリ
水鳥のカイツブリです。頻繁に水中に潜っていました。
 
何故こちらを見る
何故か水槽の木にしがみ付いて、こちらをジーっと見ているニホンザリガニが居ました。愛嬌があって癒されます。
 
ジオラマっぽい水槽
世界の淡水魚ゾーンまで進むと、水辺のジオラマのような水槽があります。
ここではテッポウウオやツムギハゼ、オオヤドカリなどが展示されています。どれも可愛いので、幾らでも時間の許す限り眺めていられます。
この水族館で一番お気に入りの水槽です。
 
迫 力
ブタハナガメの別名を持つスッポンモドキ。何故か凄い迫力の写真が撮れました(笑)。
 
この向こうは実際の川
こちらは水中観察窓です。窓の外は実際の千歳川の水中になっており、時期とタイミングが合えばサケの泳ぐ姿を見ることも出来ます。
また、この窓から見える景色はライブカメラで配信されています
 
ウグイ
ヤマメ
今回は残念ながらサケは居ませんでしたが、ウグイとヤマメは見ることが出来ました。
 
中川水族館
館内2階には、「しょこたん」こと中川翔子さんの飼っていたカメが展示されています。千歳川インディアン水車を設置した伊藤一隆・北海道庁初代水産課長の末裔が中川さんだそうで、その縁での展示のようです。
 

【サケのふるさと 千歳水族館】
住 所:北海道千歳市花園2-312
H P:https://chitose-aq.jp/
 

 

インディアン水車

千歳川にかかるインディアン水車橋
インディアン水車
2階の出口から外に出ると、目の前には千歳川が流れています。橋から川を眺めると、今の時期はインディアン水車が設置されているのが見えます。水車は7月~12月頃まで設置されているようです。
 
外から見た水中観察窓
先程紹介した水中観察窓を外から見るとこんな感じです。パッと見だと謎の構造物ですね。
 

【インディアン水車】
住 所:北海道千歳市花園2 千歳川
H P:https://chitose-aq.jp/map/indian.html
 

 

サケ神社

鳥居
水族館の建物から然程離れていない所に小川が流れており、それを渡った先に赤い鳥居が見えます。鳥居の先には「サケの慰霊塔」と書かれた柱が立っています。色々と調べた所、どうも此処はサケ神社という施設のようです。
サケ神社については、インディアン水車まつり25回記念の座談会でチラっと言及されています。それによると、鳥居を建てたのは1983年頃のようです。「サケの慰霊塔」とあることからして、御祭神はサケの御霊でしょうか?
 
サケ神社鳥居(2018.04.01)
サケの慰霊塔(2018.04.01)
今回は台風による倒木の影響からか、規制線が張られていてサケ神社の近くまで行くことが出来ませんでした。
折角なので前回(2018年4月1日)に行った時の写真を貼っておきたいと思います。慰霊塔は表面に「サケの慰霊塔」、裏面に「千歳川とサケの会 平成二七年六月五日 再建立」と書かれているのが分かります。
 

【サケ神社】
住 所:北海道千歳市花園2
御祭神:サケの御霊?
末社等:無し
創 建:不明
H P:無し
 

 
 
今回は以上。