燈蓮寺伽藍堂 -RISING FALCON-

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泉涌寺仏殿と楊貴妃観音堂と鎮守社

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<2022年12月 記事内容改訂>

はじめに

今回は、泉涌寺及び境内の楊貴妃観音堂と鎮守社について。
 

月輪山泉涌寺


泉涌寺真言宗泉涌寺派の総本山で、御寺(みてら)と通称される。
山号は月輪山(がちりんさん)、或いは泉山(せんざん)や東山(とうぜん)であるとのこと*1
855年に創建され、その後鎌倉時代に開山とされる月輪大師こと俊芿が寺を再興した。
後の江戸時代には、天皇・皇后の葬儀・埋葬を行う皇室の菩提寺として名を馳せた。
 

広大な境内に多数の建物が建っている。
境内には天皇や皇族の墓所として月輪陵・後月輪陵・後月輪東山陵・後月輪東北陵・観音寺陵もあり、全部で陵が28基、灰塚が5基、墓が9基ある。

仏殿(本堂)



仏殿は重要文化財で、阿弥陀如来・釈迦如来弥勒菩薩の三世仏が本尊となっている。
三世仏は阿弥陀如来が過去、釈迦如来が現在、弥勒菩薩が未来を表している。
由緒書の掲示によれば、三世仏の像は鎌倉時代の仏師・運慶の作と伝わっているようだ。
 
因みに仏殿について京都帝国大学学友会が発行した『修学旅行 京都史蹟案内』(手元にあるのは1933年の訂正6版、初版は1915年)という本には、

西面二重瓦屋にして、中央に彌勒、右に釋迦、左に阿彌陀を安置し、左脇壇に梵天、帝釋等、右脇壇に開山俊芿の像を奉ず
 
京都帝国大学学友会・編『修学旅行 京都史蹟案内』(1933年)322頁

とあるけど、左脇壇や右脇壇が現状どうなっていたか余り記憶にない。
 

楊貴妃観音堂



楊貴妃観音堂には、鎌倉時代南宋から日本に伝わった聖観世音菩薩と六羅漢が祀られている。
楊貴妃観音の名は、唐の皇帝・玄宗楊貴妃の姿を元に聖観音を造らせたとの伝承が後の世で広まったことによる。
かつては100年に1度しか公開されない秘仏だったが、1956年以降は通常公開となった。
美人祈願として有名だけど、美人祈願以外にも縁結びに御利益があると言われることもあるようだ。
 

鎮守社



仏殿から善能寺へ向かう途中の辺りに鎮守社が祀られている。
たまたま寺の方が居たので誰が祀られているか伺ったところ、稲荷神が祀られているとのことだった。
周りは木々に囲まれていて、とても静かで良い雰囲気だ。
 

【月輪山泉涌寺
住 所:京都市東山区泉涌寺山内町27
御本尊:阿弥陀如来、釈迦如来弥勒菩薩
諸 尊:梵天、帝釋、俊芿など
社祠等:楊貴妃観音堂(御本尊:聖観世音菩薩)
    鎮守社(御祭神:稲荷神)
    他多数
建 立:855年
H P:御寺 泉涌寺
 

 

脚注

*1:コトバンク泉涌寺」参照。