燈蓮寺伽藍堂 -RISING FALCON-

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聖観音を祀る松風山音楽寺

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はじめに


前回の記事の椋神社の次は、秩父三十四ヶ所の23番札所の松風山音楽寺へ向かった。

松風山音楽寺

本堂




音楽寺は聖観世音菩薩を御本尊としている。
由緒書の掲示や『新編武蔵国風土記稿』によれば、天長年間(824〜834年)に慈覚大師(円仁)が関東の霊地開拓の際に秩父にも来訪しており、自らの手で彫った観音像を御堂に祀ったことに始まるとされる*1
音楽寺の名の由来は、秩父札所の開設者が当地の松風を菩薩の奏でる音楽のように感じたことに由来するらしい*2



なお音楽寺は椋神社と同じく秩父事件所縁の地で、秩父困民党の群衆がこの寺の鐘を鳴らしてから大宮郷になだれ込んだとされる。

石仏


本堂から観音堂へ向かう道の途中、岩の上に石仏が置かれていた。
詳細不明だが、地蔵尊だろうか。

正一位稲荷大明神




道中には正一位稲荷大明神と扁額に書かれた稲荷社も鎮座している。
由緒等は不明だが、恐らく寺の鎮守なのだろう。

前圓福卅三世朴宗大和尚塔



稲荷社の先、階段の手前には前圓福卅三世朴宗大和尚塔という石塔が建っている。
「圓福」とは、音楽寺の北西にある大寳山圓福寺という寺院のことと思われる。
という事は、圓福寺の33世住職の供養塔的なものだろうか。
なお、「卅」(三十)の字が「十」を3つ書く異体字となっている。

六地蔵



階段を上ると手水舎があり、その手前に六地蔵尊が祀られている。
六地蔵尊は六道の各道で人々を救済する有難い仏様だ。

天満宮・石塔


六地蔵の向かい側には、小さな木祠が鎮座している。
中を見ると「天満大自在天神宮」という札が入っていたので、天満宮だと思われる。
とすれば、御祭神は菅原道真公だろうか。


なお天満宮の横には、崩れた石塔らしきものが置かれている。

観音堂



手水舎の向こう側には大きな観音堂が鎮座している。
こちらも祀られているのは聖観世音菩薩だ。

石仏


参拝後、駐車場まで戻る道中にも石仏が置かれているのに気が付いた。
詳細不明でかなり苔むしているが、それもまた味があって良い。

【松風山音楽寺】
住 所:埼玉県秩父市寺尾3773
御本尊:聖観世音菩薩
社祠等:正一位稲荷大明神
    観音堂 外多数
創 建:天長年間
H P:秩父札所HP「第二十三番 松風山 音楽寺」

脚注

無し

*1:林述斎編『新編武蔵風土記稿 巻之257 秩父郡之12』(内務省地理局、1884年)4頁(国会図書館デジタルコレクションでは19コマ)

*2:秩父札所HP「第二十三番 松風山 音楽寺」参照。