燈蓮寺伽藍堂 -RISING FALCON-

神社やら、旅行やら、過去の事やら。

JR苫小牧駅構内にある苫小牧構内神社

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<2022年10月 記事内容改訂>

はじめに


苫小牧市は北海道の胆振地方東部にある、製紙業では王子製紙の苫小牧工場、水産業では日本一の漁獲量のホッキ貝で有名な都市だ。
また、フェリーターミナルがあることでも知られている。

そんな街の中心部には、JR室蘭本線日高本線苫小牧駅がある。
そしてこの苫小牧駅の構内に神社が鎮座していることは、意外と知られていないのではないかと思う。

苫小牧構内神社




まず改札内に入り、「スーパー北斗・北斗自由席のりば」と示されている3・4番ホームに続く階段を降りていく。


4番ホームの東端に立つと、線路の向こう側に木が植えられている一角があり、その中に社が建っているのが分かる。
この神社はゼンリン地図によれば「苫小牧構内神社」とのこと。


苫小牧構内神社は、道内でも珍しいJR駅の構内にある神社だ。
創建されたのは昭和38年(1963年)。
当時の苫小牧駅では貨物車との接触等により死傷事故が続発したため、国鉄が安全祈願のために神社を建立した。
線路の向こうにあることからも分かる通り、一般客は近くで参拝するのは不可能だ。


なお駅北口の駐輪場からは(神社の背面だけだが)比較的近くで見ることができる。

御祭神は(恐らくは高丘の)樽前山神社の御分霊を祀っている*1
北海道新聞・苫小牧民報・室蘭民報の3紙によると、平成20年(2008年)に45年ぶりに社殿が改修された際には、御霊は樽前山神社に一時的に遷座していたようだ*2 *3 *4

また苫小牧市立中央図書館に所蔵されている『苫小牧周辺の神社調査報告』という昭和44年(1969年)の苫小牧西高生のレポートによると、調査時に社殿の中には樽前山神社大神のお札、天神地祇の札、高山稲荷神社の札と交通安全の大麻があったようだ*5
このことからすると、御祭神は樽前山神社の御分霊以外に天神地祇稲荷大神も祀られているということなのかもしれない。
更にこのレポートには、当時の苫小牧駅国鉄職員全員が持っていたお守りに厄除けの言葉である「サムハラ」の神字4文字が書かれていることも併せて記録されている。

【苫小牧構内神社】
住 所:北海道苫小牧市表町6-4 苫小牧駅構内
御祭神:樽前山神社大神、天神地祇?、稲荷大神
社祠等:無し
創 建:1963年
H P:無し

脚注

*1:これについては観光案内所で尋ねたところ、観光案内所の方がJRに電話で問い合わせてくださった。

*2:「社殿改修が完了 安全祈り例大祭」『北海道新聞』(2008年10月23日朝刊(苫小牧・日高版)27面)

*3:「あおさぎ」『苫小牧民報』(2008年10月23日朝刊15面)

*4:「構内神社 45年ぶり改修」『室蘭民報』(2008年10月24日朝刊)

*5:苫小牧西高等学校郷土史研究部編『苫小牧周辺の神社調査報告 S.44.10.30』(苫小牧西高等学校郷土史研究部 、1969年)

狸小路の本陣狸大明神社が遷っていた件

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はじめに

あけましておめでとうございます。
今年も有名な神社から道端の祠まで、色々と紹介していきたいと思っています。
 
さて、今回は狸小路の本陣狸大明神社について。
 

本陣狸大明神社


かつて狸小路5丁目には本陣狸大明神社が鎮座していた。
 


ところが現在、狸小路5丁目に神社は存在していない。
これは神社が鎮座していた狸小路5丁目センタービル*1が建替え工事となったことが理由で、2021年に4丁目に移動した。
 
因みに狸小路商店街HPの移転のお知らせ記事によれば、昭和48年(1973年)の神社創建当初は狸小路4丁目のアルシュビル*2にあったらしい。
その後昭和52年(1977年)に狸小路5丁目のウインズの入るビルに遷ったとのことなので、実に44年ぶりに狸小路4丁目に戻ったという事になるだろうか。
 

そしてこれが4丁目の仮の建物だ。
建替え完了後は元の場所に戻るようなので、この姿の神社を拝めるのは期間限定だ。
 


この建物内にきちんと社殿も鎮座している。
由緒書の掲示も掲げられている。
 
本陣狸大明神社には本陣狸大明神とかずさ御前という夫婦の狸が祀られている。
本陣狸は伊予八百八狸を率いたとされる隠神刑部の血筋で、かずさ御前は証城寺の狸囃子で有名な狸の血筋だ。
 


水かけ狸地蔵もここに一緒に遷されている。
ただし(当たり前だけど)水をかける事はできない。
 


おみくじも置かれている。
ここのおみくじはオリジナルデザインのおみくじだ。
いつも思うけど、1回20円って安すぎないだろうか。
しかも今回は大吉が出たのでとても嬉しい。
 

【本陣狸大明神社】
住 所:北海道札幌市中央区南2条西4-4 狸小路4丁目
御祭神:本陣狸大明神、かずさ御前
社祠等:狸地蔵
創 建:1973年8月11日
H P:狸小路商店街「本陣狸大明神社」
 
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脚注

*1:JRAのウインズが入居していた。

*2:現在は地下2階から4階までMEGAドン・キホーテが入居しているビル。

二条城近くの越後神社

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はじめに


二条城の南西1kmほどの場所にある中京区越後町に越後神社が鎮座している。
こぢんまりした境内には社が2つ並んで建っている。
 

越後神社

越後神社社殿



右側の社殿は「福鷹龍神」の扁額が掛かっているので、恐らくこちらが越後神社の本殿だと思われる。
御祭神は弁財天と福鷹龍神だ。
創建は由緒書を見てもよく分からないが、少なくとも幕末の頃には祀られていたらしい。
 
由緒書の看板は掠れて読みづらいが、以下のようなことが書かれている。
・神社の名称は町名由来で、町名の越後町は室町時代に若杉越後守という武人が住んでいたことに由来すること。
・その後この地は浅井長政などの所有を経て、幕末には篠山藩の青山氏*1が京屋敷を置いていたこと。
・弁財天、福鷹龍神、福徳稲荷大明神を祀ること。
・境内には「おまつお婆さん」に由来する、おまつ地蔵尊が祀られていること。
・明治時代に友禅染名工・廣瀬備治翁がこの地に染工場を建設し友禅染を普及させたことに因み、越後神社は別名を友禅神社と言うこと。
・当初は300坪以上もあった池も大半が埋め立てられてしまったこと。
 

稲荷神社



左側の社殿は稲荷神社だ。
御祭神は扁額を見る限り、𠮷浪稲荷大明神・奥信稲荷大明神・福德稲荷大明神・赤井稲荷大明神・多紀稲荷大明神稲荷大明神5柱であるようだ。
由緒書の看板にある「福徳稲荷大明神」はこちらの神社に祀られているということなのだろう。
 

おまつ地蔵尊


境内の左端に地蔵堂が建っている。
先述の通り、この御堂には「おまつお婆さん」に由来する「おまつ地蔵尊」が祀られている。
いきなり出てくる「おまつお婆さん」なる人物が何者なのか気になるが、調べてもよく分からなかった。
 

【越後神社】
住 所:京都府京都市中京区亀甲屋町596
御祭神:応神天皇神功皇后比売神
社祠等:稲荷神社(御祭神:𠮷浪稲荷大明神、奥信稲荷大明神、福德稲荷大明神、赤井稲荷大明神、多紀稲荷大明神
    地蔵堂(御本尊:おまつ地蔵尊
創 建:不明
H P:無し
 

 

脚注

*1:藤原北家花山院流後裔で松平氏初代・松平親氏の頃から仕えたとされる、最古参の譜代大名の一族。