武信稲荷神社
武信稲荷神社社殿
御祭神は、宇迦之御魂大神・佐田彦大神・大宮能売大神の3柱を祀る*1。
この3柱は伏見稲荷大社の本殿に祀られる神だ。
創建は貞観元年(859年)で、藤原良相が勧学院(良相の父の藤原冬嗣が創設した藤原氏の大学別曹)と延命院(良相が創設した療養所)の守護神として祀り、のち藤原武信なる人物が篤く崇敬したため武信神社と呼ばれるようになったとのこと*2。
なお創建については昭和9年(1934年)に出版された『京都神社誌』では、勧学院・延命院鎮守として藤原武信が勧請したという説と、平安遷都の際に大内裏の守護として桓武天皇が祀ったという説の2つが掲載されているが、詳細は不明だ*3。
一寸法師が御伽話の中で住み込んだ屋敷のモデルが藤原良相の屋敷であり、その屋敷はこの地にあったということで、武信稲荷神社は一寸法師ゆかりの地ということらしい。
宮姫社
宮姫社は御神木の榎に宿るとされる弁財天を御祭神としている*4。
長寿健康・縁結びなどの御利益があるらしい。
宮姫社の背後にあるのが御神木の榎だ。
武信稲荷神社HPによれば、平安時代末期に平重盛が安芸国の厳島神社から植樹したと伝わっているようだ*5。
なお先述の『京都神社誌』では、平清盛が厳島神社から植樹したとしている*6。
なお平成25年(2013年)8月に御神木の巨大な枝が折れて落下したが、その枝はチェーンソーアートにより立派な木彫りの龍として甦っている。
伏見遥拝所
宮姫社の近くには伏見遥拝所が建てられている。
伏見遥拝所はその名の通り伏見稲荷大社を遥拝するための場所だ。
石碑にも「伏見稲荷 御山遙拜所」と刻まれている。
武信稲荷神社本殿の御祭神も伏見稲荷大社本殿と稲荷山三峰に祀られる神であることを考えると、遥拝所があるのも納得だ。
遥拝所碑の左側には「武信」とだけ彫られた石碑が置かれているが、これはもしかすると稲荷山に無数に鎮座するお塚(各々が信仰する神名を刻んだ石碑)だろうか。
とすれば「武信(稲荷大神)」の意だろう。
釘抜き大明神
南末社の横には釘抜き大明神という変わった形の御神体が祀られている。
これは武信稲荷神社HPに曰く、かつて近所に住んでいた鍛冶屋が病災に苦しんだため武信稲荷に祈願しつつ鉄を打つと釘抜ができたため奉納したところ、病災が治まったとされている*7。
このことから、御利益は病気平癒となっている。
能勢妙見山常吉大明神
釘抜き大明神の右側には常吉大明神が祀られている。
先頭には「能勢妙見山」の字が見える。
調べてみると、大阪府能勢町にある無漏山真如寺の境外仏堂の能勢妙見山の境内末社に常吉大善神という神が祀られているようなので、その神を指しているのかもしれない。
白蛇社(白蛇大辨財天)
社務所の近くには白蛇社が鎮座している。
御祭神は白蛇大辨財天という、その名の通り白蛇の姿をした弁財天を祀る。
かつてこの弁財天が行者に社の建立を夢告し、それに基づいて創建されたとのこと*8。
大黒社(起上大明神)
駐車場・駐輪場の辺りに鎮座するのは大黒社だ。
扁額に「起上大明神」とある通り、起上大黒という大黒天を祀っている。
その名の通り、飛躍や開運の御利益があるとのこと*9。