燈蓮寺伽藍堂 -RISING FALCON-

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先住民を慰霊・鎮魂する岩田木神社

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<2022年8月 記事内容改訂>

はじめに

以前洞爺湖神社について調べた際に、『物語虻田町史』に変わった神社が掲載されていたので参拝へと向かった。


まず、JR室蘭本線の洞爺駅へ向かう。
洞爺駅は平成18年(2006年)に改築されたため、かなり綺麗な外観をしている。


神社へ向かうには、駅の真正面の道を100mほど南西に進む。


歩いて行くとそのうち右側にかなり背の高い木が見えて来る。
そしてその木の真下に、今回の岩田木神社が鎮座している。

岩田木神社


岩田木神社はかなり小さな社だ。
あまり修繕されていないのか、今回参拝した際には扉が壊れて中が丸見えになっていた。

岩田木神社の建立経緯は少し変わっている。
虻田町史 第3巻』によれば、元々この神社のある一帯は先住民の墓地(正確には先住民以外も埋葬されていたようだが、大半の被葬者は先住民であったらしい)だったため大量の人骨が出土してしまい、その骨は墓を建立して慰霊・鎮魂をしていたが、いつしかその墓が神社へと変更され、出土した人骨は役場が無縁墓地へと改葬したとのこと*1
なお、荒地の墓場だったこの土地に人が住み始めたのは文政5年(1822年)の有珠山大噴火に伴う集落移転によるものなので、岩田木神社の創建もそれ以降ということになる*2
という訳で、恐らくこの神社は先住民の御霊を祀っているということなのだろう。

現在の状況は不明だが、この『物語虻田町史』が出版された平成13年(2001年)当時は稲荷神社(何処の稲荷神社か記載は無いが、平成6年(1994年)に社名を稲荷神社から改称した虻田神社ではないかと思われる)の宮司が神事を行い、また6月25日には大祭も行われていたらしい*3

なお岩田木神社の社名は、かつてこの神社を管理していた「岩佐」「吉田」「大木」の3家から1文字ずつ取ったものとのこと*4

【岩田木神社】
住 所:北海道虻田郡洞爺湖町本町
御祭神:先住民の御霊?
末社等:無し
創 建:1822年以降
H P:無し

脚注

*1:虻田町編集委員会編『物語虻田町史 第3巻(教育・文化編)』(2001年、虻田町)396〜397頁

*2:同書、396頁

*3:同書、396頁

*4:同書、397頁