燈蓮寺伽藍堂 -RISING FALCON-

神社やら、旅行やら、過去の事やら。

元・出雲大社境内堂宇の十王堂

山陰山陽記事記事一覧
社寺祠堂巡り記事一覧
 

はじめに



前回の記事で書いた大歳社から東に50mほど行った奉納山の麓に、十王堂という堂宇が鎮座している。

十王堂





十王堂にはその名の通り十王の像が祀られている。
十王とは人の死後にその罪を裁く役割を負った10尊を指す。
十王の面々は由緒書によると、秦廣王・初江王、宗帝王・五官王閻魔王変成王・太山王・平等王都市王五道転輪王の10尊で、それぞれ本地仏不動明王・釈迦如来文殊菩薩普賢菩薩地蔵菩薩弥勒菩薩薬師如来・観世音菩薩・勢至菩薩阿弥陀如来となっている。
なお十王堂に祀られている十王像は旧・大社町(平成17年(2005年)に出雲市と合併)の町指定文化財であり、現在は出雲市の市指定文化財となっている*1

十王堂は元々は出雲大社境内の堂宇だったが、寛文7年(1667年)の寛文造営により現在地に遷座したとのこと。
この寛文造営の際には神仏分離が断行され、出雲大社境内の仏教施設は近隣寺院等に遷された*2

【十王堂】
住 所:島根県出雲市大社町杵築北2953横
御本尊:十王10尊
社祠等:無し
創 建:1667年
H P:無し

脚注

出雲大社境外末社の大歳社

山陰山陽記事記事一覧
社寺祠堂巡り記事一覧
 

<2023年7月 記事内容改訂>

はじめに


前回の記事で書いた上宮から松江杵築往還を50mほど東へ進むと、大歳社(おおとしのやしろ)が右手側に鎮座している。

大歳社




大歳社は出雲大社末社だ。
御祭神はその名の通り大歳神を祀っている。
大歳神は『古事記』と『旧事紀』によれば、素戔嗚尊の子であり、大国御魂神・御年神・大山咋神大土神などの父であるとされる*1 *2
五穀豊穣を司る神とされる。
また『山城国風土記逸文によれば、荒海社という神社に御祭神として祀られていたらしい*3

なお更に詳細な情報はないかと『出雲大社由緒略記』を確認したが、特にこれ以上の情報は無かった*4

また、島根大学附属図書館が公開しているデジタルアーカイブ収録の『雲陽誌』を確認したところ、神門郡の3巻目の假宮の大歳明神の項目に「正保四年再興の棟札あり」との記述があり、少なくとも正保4年(1647年)には大歳社が存在していたらしい*5

【大歳社】
住 所:島根県出雲市大社町杵築北2961横
御祭神:大歳神
社祠等:無し
創 建:1647年以前
H P:出雲大社HP「摂末社」

脚注

*1:倉野憲司校注『古事記』[改版](岩波文庫、2007年)46, 61〜62頁

*2:溝口駒造訓註『旧事紀』(改造文庫、1943年)78, 91〜92頁

*3:武田祐吉編『風土記』(岩波文庫、1937年)272頁

*4:出雲大社社務所出雲大社由緒略記』[改訂41版](出雲大社社務所、2003年)48, 77頁

*5:黒沢長顕・斎藤豊仙・黒沢長尚編『雲陽誌 神門郡 3』(1717年)(島根大学附属図書館デジタルアーカイブでは67コマ)

神在月の神議の場となる出雲大社摂社・上宮(仮宮)

山陰山陽記事記事一覧
社寺祠堂巡り記事一覧
 

はじめに


前々回の記事で書いた下宮から東へ向かう道(この道は前回の記事冒頭に書いた道と一続きで「松江杵築往還」という名前らしい)を進むと、上宮(かみのみや)の立派な社殿が左側に現れる。

上宮(仮宮)

随神門




上宮は随神門を備えている。
門の内側には格子がありその向こうに扉が見える。
この中に随神像が祀られているのだろう。

上宮社殿



上宮は出雲大社の摂社となっている。
社殿は拝殿と本殿が建つ。

御祭神は素戔嗚尊と八百万神を祀る。
神在月(陰暦10月)には出雲大社本社及びこの上宮にて神在祭が行われ、全国の神々が一堂に会する。
この際に上宮では神議り(かむはかり、神々の会議)が行われる*1*2
また仮宮という名称は、神議の場としての呼び名であるらしい*3

【上宮(仮宮)】
住 所:島根県出雲市大社町杵築北仮之宮2961横
御祭神:素戔嗚尊、八百万神
社祠等:無し
創 建:不明
H P:出雲大社HP「摂末社」

脚注

*1:千家尊統『出雲大社』[第2版](学生社、1998年)175頁

*2:出雲大社社務所出雲大社由緒略記』[改訂41版](出雲大社社務所、2003年)48, 77頁

*3:同上