はじめに
今回は京都御苑内に鎮座している宗像神社について。
宗像神社
先日の記事で書いた白雲神社以外にも、京都御苑内には神社が鎮座している。
今回紹介する宗像神社もその一つだ。
社殿
宗像神社は多紀理比売命・多岐津比売命・市岐嶋比売命を御祭神としている。
三柱は宗像大神と総称され、更には道を司る神として道主貴(みちぬしのむち)とも称されている。
なお道主貴の話は、『日本書紀』巻第一・神代上第六段の一書*1や『旧事紀』巻第二・神祇本紀*2に書かれている。
また、『京都神社誌』には相殿として天岩戸開神と倉稲魂神が祀られているとの記述がある*3。
これによると、天岩戸開神は花山院家初代・花山院家忠が勧請したらしい。
倉稲魂神は「当社を花山稲荷と称する所以なり」との記述があることから、境内社の花山稲荷社が相殿になっていた時期があるのだろう*4。
他には『京都府神社略記』にも同様の記述がある*5。
由緒書によれば宗像神社が鎮座する地は元々は藤原忠平*6の邸宅で、清和天皇生誕の地だという。
またその後は花山院家の邸宅が置かれていた。
神社は延暦14年(795年)に筑紫から勧請して創建されたとのこと。
道の安全や海産物、生産、出産、運送等に御利益があるとされる。
少将井社
境内には末社が5社あり、その内3社は並んで鎮座している。
一番右側にあるのは櫛稲田姫神を祀る少将井神社だ。
現在の中京区少将井御旅町には昔は八坂神社の少将井御旅所が置かれていたものの、後に大政所御旅所と共に豊臣秀吉により四条御旅所へと纏められた*7。
宗像神社のかつてのHPによれば、少将井御旅所の場所に祀られていたのがこの少将井神社なのだという*8。
繁栄稲荷社
少将井神社の左側には繁栄稲荷社が鎮座している。
先述の旧HPによれば、御祭神は命婦稲荷神となっている。
命婦ということは稲荷大神の眷属の狐を祀るという事だろうか。
子孫繁栄と事業発展に御利益があるとされる。
金刀比羅宮(琴平神社)
この社は先述の旧HPや由緒書の掲示では「金刀比羅宮」となっているけど、神社横に立つ石柱には「琴平神社」と刻まれている。
讃岐の金刀比羅宮から勧請した神社で、御祭神は大物主神と崇徳天皇だ。
文化3年(1806年)に丸亀藩主・京極能登守*9により創建された。
旅行の安全や海産に御利益があるとされる。
京都観光神社
京都観光神社は昭和44年(1969年)に観光業者によって祀られた新しい神社だ。
御祭神は道案内の神である猿田彦大神。
業者と市民の家運隆盛や観光客の無病息災が祈願されている。
花山稲荷社(正一位花山稲荷大明神)
花山稲荷社は明治維新の頃までこの地に邸宅があった花山院家*10の邸内社だ。
御祭神はHPによれば倉稲魂神。
火伏、商売繁栄、産業興隆、書道・技芸上達の御利益があるとされる。
その他境内社
先述の『京都神社誌』には境内社について、「境内社金刀比羅宮(中略)、外に少将井社(中略)等五社あり」と書かれている。
仮に繁栄稲荷社がこの中に含まれているとすると残りは3社だが、この境内社6社中の3社が何だったのか、残念ながら全く分からない。
これも先述の『京都府神社略記』にも「境内神社六社」とあり、やはり境内社は少将井社・繁栄稲荷社・金刀比羅宮以外に3社あったらしいことが分かる。
【宗像神社】
住 所:京都府京都市上京区京都御苑
御祭神:宗像大神(多紀理比売命、多岐津比売命、市岐嶋比売命)、天岩戸開神
社祠等:少将井社(御祭神:櫛稲田姫神)
繁栄稲荷社(御祭神:命婦稲荷神)
金刀比羅宮(御祭神:大物主神、崇徳天皇)
京都観光神社(御祭神:猿田彦大神)
花山稲荷社(御祭神:倉稲魂命)
外3社?
創 建:795年
H P:京都観光Navi「宗像神社」