燈蓮寺伽藍堂 -RISING FALCON-

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稲荷山⑩:荒神峰田中社神蹟には権太夫大神

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はじめに

今回は荒神峰というエリアについて。 
今までの稲荷山の記事はこちら
 
マップは以下の通り。番号が振ってあるのは、お塚の台座の番号だ。
(※画像が粗い場合は、クリックした先で「オリジナルサイズを表示」を選ぶと大きいサイズが表示される。)

 

荒神


荒神峰は前回紹介した四ツ辻から伸びる階段の先にあるエリアだ。
田中社神蹟を中心に、周囲を取り囲むように無数のお塚が並ぶ。
 

田中社神蹟




田中社神蹟は荒神峰の階段の先に鎮座している。
ここは七神蹟*1の一つとなっている。
由緒書の掲示によると、田中社の祭神は権太夫大神とされており、別名を大国主神大己貴神・大黒様という。また福の神で、御神徳は縁組と商売繁昌だという。芸能関係者の崇敬も篤いようだ。
 

藪八大神・ばんざい大神・丸八大神


ここは田中社に向かう階段の途中の右手にあるお塚だ。
三柱の神名が刻まれているが、特に真ん中の「ばんざい大神」の名前のインパクトが凄い。もうここまで強烈だと、有無を言わさぬ「めでたさ」すら感じてしまう。
 

出世大明神



こちらは田中社に向かって左側にある方の(もう一つの方は後述)出世大明神のお塚だ。流石「出世」を関するだけあって、小鳥居がかなり奉納されている。
ところで扁額や小鳥居は「出世大神」になっているが、お塚の碑文は「出世大明神」となっている。どっちなんだ。
 

河内瓢簞山橋姬


新池堤の記事でもチラっと書いた、「瓢箪山」を冠するお塚の一つだ。河内(現在の大阪府)の瓢箪山というと、瓢箪山稲荷神社関連だろうか。
このお塚は石碑の形が何だかかわいい。そして表面にうっすらと瓢箪の形が彫られているのも味がある。
因みに、お塚の中にはこの河内瓢簞山橋姬のように名前だけ書かれているものもかなりあるが、奉納されている小鳥居等を見る限り、「大神」が省略されているだけのようだ。
 

千代丸大明神


個人的に荒神峰で一番好きな形のお塚がこれ。なんといっても馬が彫ってあるのが印象的だ。
しかも、手前の小鳥居と比べると結構大きい。
 


これも印象に残るお塚だ。シンプルに「若」の一文字である。
まあ、恐らくは「若大神」の意なんだろう。
 

最上位髙松經王大菩薩・白玉


まず「白玉」は、何度も繰り返している通り恐らく「白玉大神」と思われる。
最上位髙松經王大菩薩は、岡山県岡山市北区高松稲荷にある最上稲荷山妙教寺のことだろう。最上稲荷は日本三大稲荷*2にも数えられる日蓮宗の寺院で、天平勝宝4年(752年)の孝謙天皇病気快癒祈願の際に最上位経王大菩薩が降臨したことから始まるとされている*3
 

米造大神


ここは小さなお塚だけれど、いかにも稲作を司るお稲荷さんにふさわしい神名だと思う。
因みに目の前の狛狐が巻いているスカーフには、びっしりと般若心経が書かれている。
 

猿田彦大神・國狹槌大神


こちらは猿田彦大神と國狹槌大神を祀る。
猿田彦大神は『古事記』と『日本書紀』に登場する、瓊瓊杵尊*4天孫降臨の際の道案内の神で、後に庚申信仰とも結びついたことで有名だ。また、伏見稲荷の本殿に祀られている佐田彦大神の別名とも言われる。
國狹槌大神は『日本書紀』に登場する神で、天地開闢の際に国常立尊に続いて2番目に出現した神とされる。
正直、猿田彦大神が祀られるのは分かるけれど、國狹槌大神が祀られているのは意外だった。
 

豐國社


「豐國社」とだけ刻まれているお塚。豊臣秀吉を祀る豊国神社関連か?
 

清姫大神・岩髙大神・有賀大神・三玉大神・白瀧大神


前回の記事でも触れた、清姫を祀るお塚の一つがこれだ。五柱の神名が刻まれているが、やはり由緒は不明だ。
 

白髭大明神・於辰大明神・辰吉大明神・豆吉大明神・辨財天女・大黒天


こちらは六柱の神名が刻まれている。
白髭大明神は(髭=鬚なので)、滋賀県の白鬚神社(御祭神:猿田彦命)と何か関係があるんだろうか。
このお塚は辨財天女(=弁財天)と大黒天という七福神でお馴染みの神様が祀られているのが珍しい。まあ、先述の通り大黒天は大国主神(=権太夫大神)と習合した歴史のある神様なので、この荒神峰に祀られているのはピッタリかもしれない。
 

出世大明神



これが荒神峰で2つ目の出世大明神。こちらも小鳥居には「出世大神」と書かれている。こちらも篤い崇敬を集めているようだ。
 

寳大神


「寳」*5を冠する、めでたい神名が刻まれている。由緒は不明だが、私は金運を願って参拝した。
 

金刀比羅大神


最期に紹介するのは金刀比羅大神のお塚だ。金刀比羅大神は、言わずと知れた香川県金刀比羅宮大物主神のことだろう。
金刀比羅宮は昔行ったことがあるので、懐かしくなりこのお塚に参拝した。
 

荒神峰】
御祭神:権太夫大神、出世大明神、河内瓢簞山橋姬、最上位髙松經王大菩薩など
 

 
 
次回は三ノ峰の下社神蹟とその周りのお塚について。
今回は以上。
 

脚注

*1:かつては社殿が存在したが、後に荒廃して復興されなかった山中の社の跡地。この七神蹟を定めることで伏見稲荷に無断で行われていたお塚の建立を沈静化させようとしたが、逆に建立の呼び水になってしまったらしい。(『伏見稲荷大社御鎮座千三百年史』(伏見稲荷大社御鎮座千三百年史調査執筆委員会・編)267頁)

*2:他の2つは伏見稲荷豊川稲荷があげられることが多い。

*3:最上稲荷山妙教寺ホームページ 「最上稲荷について」を参照。

*4:天照大神の孫で神武天皇の曾祖父。

*5:「寳」は「宝」の旧字体